論文の要旨
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J. Nat. Prod. 2016, 79, 1694-1697
Nazumazoles D-F, Cyclic Pentapeptides That Inhibit Chymotrypsin, from the Marine Sponge Theonella swinhoei.
Fukuhara K, Takada K, Okada, S, Matsunaga, S.
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カイメンTheonella swinhoei からはこれまで40種を超えるポリケチドやペプチドが発見されており,生物活性物質の有望な探索源である。我々は,T. swinhoei に含まれる二次代謝産物をLC-MSによって網羅的に解析し,生物活性を調べた結果,細胞毒性物質として新規環状ペプチド二量体nazumazoles A-Cを発見した。(Fukuhara K, et al. Org. Lett. 2015)
本論文ではさらに,nazumazoles A-Cの単量体様の類縁体であるnazumazoles D-Fの化学構造と生物活性を報告した。本化合物はセリンプロテアーゼの一つであるキモトリプシンを顕著に阻害する一方で,細胞毒性を示さなかったことから,nazumazoles A-Cの二量体構造が細胞毒性の発現に重要であることが示唆された。